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大切な友人が今日、「卒業式」を迎えた。

そんな晴れがましい日なのに、友人は血の気がひいたような青い顔、今にも倒れそうな雰囲気だった。

「母」にとって「子どもの結婚式」とは、こんなにもいろんな思いが交錯する日なのだろう。

幾度となく、仕事柄そういった場面を見せていただいているだけに、彼女の気持ちが痛いほどわかった。
 

嬉しくもあり、寂しくもあり。

もう大人だから、とわかっているけれど何か心配で。

一切口は出さないと決めているけれど、ちょっと確認したくて。

 

どこの家でもそうかもしれないが、息子はいちいち話してくれない。

細かいことを聞いても返事をしない。

だから・・・なにもわからないじゃない!と叫びたくなる気持ち。
 

だけど、信じているから、うん、何も聞かず、すべて任せよう・・・
 

ひたすら自分と話している母の顔。

親しくお付き合いさせていただいているが、こんな彼女の表情は初めてだった。

それだけ大切にしている「思い」を、今日は少しでも早く「安心」に変えてあげたい。

介添えは、そう思った。

 

新郎も母と同じくらい緊張している。

それが、ぱっと見、そんなに瓜二つではないのに、困ったような悩んだ顔になると、不思議なほど同じ表情をする。

緊張したときの体のゆすり方、首をかしげたその角度までそっくりなのには、さすが親子だとほほえましかった。
 

そこまで緊張する新郎も珍しい。

母の思いがよくわかっていらっしゃるのだと感じた。
 

宴の最後に新郎は「感謝状」を母に贈った。

よくあるパターンは花束。

彼女の家はいつも花にあふれていて、彼女がどれほど花が好きか、よくわかる。

でも、あえてそれではなく「感謝状」を選んだ新郎。

何を伝えたかったかが、そばで見ていてもわかった。
 

よかったね、と友人に心で拍手を送った。

 

血の気のなかった彼女の顔は、ウエディングパーティ半ばにはすっかり戻り、いつもの優しくお茶目な彼女の顔に戻っていた。

宴後、ひとこと。

「あ~疲れた」ホッした笑顔が幼子のようで可愛かった。

 

すべての行事が終わり、これから着替えというとき。

新郎も全く同じことを言った。

「あ~疲れた」クシャっとした笑顔の中の瞳は、さっきの彼女そっくりだった。