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国内線セキュリティ担当官は、もしかして見たことがなかったのかもしれない。
 

一平米ほどの小さなセキュリティエリアに入った途端、女性担当官は私の帯をぐいぐいと引っ張り、何やらまくしたてた。

金属探知機を盛んに当てる。

もちろん反応はない。

けれど、見たこともないものに対する警戒心からか、いくら説明しても納得しない。

だんだん私も腹が立ってきて・・・

 

あなたの国にもサリーという民族衣装があるでしょう。

これは私の国の民族衣装。

これは着物。これは帯。
 

こんな時には英語がわからないフリをしている。

というか、人の話など聞いていない。

 

わかったわよ、ほどいてあげるわ。

帯がどんなものかよーく見てなさい。

(このあたりは、怒りに任せて日本語でまくし立てている)

ささっとほどき、一本の布に戻った帯を持たせ、さあ、どこが危険なのか言ってみなさいよ!
 

女性担当官が持つ金属探知機に、こっちから帯を押し当て、無理やり納得させて(呆れた担当官が半分無視をし始めた感あり)、ふんっと言いながら帯を目の前で結んで・・・セキュリティエリアを出て行って、私は反省した。

 

聞いたことはあっても見たことはない・・・私にもそういうものはある。

彼女は仕事に忠実だっただけではないか。
 

時々でも着物姿の日本人を見ていたら・・・彼女の対応もきっと違っていただろう。

それくらい海外では着物はまだまだ知られていない民族衣装なのだと知った。

 
 

そういえば・・・
 

行きの飛行機の中で、ANAの客室乗務員さんが私に話しかけた。

「この路線でお着物姿をお見かけしたのは、お客様が初めてです」。

ベテラン客室乗務員さんの言葉に、ひっくり返りそうだった。

 

もしこの国内線ロビーに、私一人でなく、大勢が着物姿でここに表れたら・・・

いつも見慣れるほど着物姿の日本人がここを通っていたら・・・

 

日本で私たちは、さまざまな国の民族衣装を見ることができる。

それは、その国の方たちが、日本に持ってきて、着てくれているから。

私たちは・・・自国の文化や伝統を知ってもらう努力をしているのだろうか。

 

次の世代の日本人には、セキュリティエリアで怒鳴るような短気で恥ずかしいことをしてほしくない。

堂々と、品格ある日本人として振る舞える、そんな土台つくり。

自分のするべきことが、少し見えてきたような気がした。