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今週は大学卒業式のピーク。

今週で、岡山県下の大学で学んだ学生さんたちが一斉に社会へと巣立っていく。

私は、永年その旅立ちのお手伝いさんを務めている。
 

今日訪れた短大で、ひとりの卒業生が持ってきたのは、大島紬の振袖だった。
 

奄美大島、鹿児島、宮崎で生産されている日本の三大紬の一つ、大島紬。

高級だが、紬ゆえに、おしゃれな “普段着” として用いられている。

そのため、ミスの第一礼装になることは基本的にない。

と思っていたが、少し前から産地の奄美大島では、大島紬の振袖で成人式に臨んでいる、といったニュースが聞かれるようになった。
 

自分たちの育った地域の産業を知り、体験することは、ふるさとに誇りを持つこと。

徳之島出身だということ、おばあちゃんが買ってくれたこと、少し色黒の肌に白く輝く歯を見せながら、彼女は嬉しそうに話してくれた。
 

衣装箱から持ち上げた大島紬の振袖は、ふわり・・・とても軽かった。

1月の徳之島での成人式は、今日の岡山よりもあったかいそうだ。

一般的ともいえる友禅などの刺繍を施した色鮮やかな振袖は、ずっしりと重い。それは温かさでもある。

むしろそれなら、汗ばんでしまうくらいのようだ。
 

明るい太陽と青い空の下、身軽に動く長い袖が、若さの象徴のように、ゆらり、風に遊ぶのだろう。

大島紬の特徴ではあるが、二十歳には少々地味と思えるこげ茶色の地色が、むしろ島の自然に溶け込むような気がした。

地域に根付く『民族衣装』だと、納得した。

 

二年前にお姉ちゃんがこの着物を着て。

そして、今年の成人式と卒業式は私。

このあと少し間が空いて・・・。

あと、妹が4人、これを順番に着るのだそうだ。

他に弟がいて、彼女は6人姉弟。

9人兄弟の友達もいて、決して珍しくない人数だという。
 

こんなに大切にされて、振袖も嬉しかろう。

結婚したら袖を留める、いわゆる1尺3寸袖にすると昔から言われる、着物を末永く活用する仕立てがあるが。

彼女の振袖は、まだまだ現役の袖の長さで活躍しそうだ。