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初めに「三つの約束」を、美智子参与は生徒さんに伝えた。

・しゃべらない

・笑わない

・しびれがきれても我慢する
 

岡山学芸館高校のマナー授業。一年生は全員この授業を受ける。

茶道の心得を学ぶ授業だ。

部屋への出入りの仕方、挨拶の仕方、お茶の点て方、お菓子のいただき方等々を学ぶ。
 

簡単に言うが、50分の間に、ほとんどが茶道初心者の生徒さん達1クラス40人に、これらを学ばせるのは容易なことではない。

それを、5名の先生他が手際よく裏方を務めていく。

品格ある大人に育ってほしい、との思いが、この授業の力になっているのだと感じた。
 

生徒さんもそれを感じるのだろう。

誰もしゃべらない、笑わない。

ただ、しびれだけはどうしても得手不得手があり。

3分くらいすると、も、もぞもぞ・・・する子も出てくる。

それでも顔を真っ赤にしながら、必死で頑張っている姿は痛々しくもあり、可愛くもあり、なんて素直なんだろうと思いながら、こちらもしゃべらず笑わず、心で応援していた。
 

さて、茶筅と言うものを初めて握った子。

「縦に動かして。円を書いてはダメ。」の指導に、必死でお茶を点てる。

ふと見ると、右手がつかれたのだろう、左手に持ち替えてシャカシャカ・・・茶筅の縦運動をしていた!

もちろんそれはお点前にはない作法だが・・・あっぱれ!

その発想の柔軟さに、注意するのも忘れるほど。

これは一本とられたな、と脱帽気分だった。
 

ただ、あとから先生方とお話した時に思ったが。

・隣の人は何をしているか

・それを見て自分はどう動くか

を、考えて行動する人が減っているのだという。

畳のどの位置やラインに自分は座ればよいのか、ちょっと隣を見て自分の位置を確認する、など。

柔軟な発想と座布団一枚あげたくなった「左手に茶筅」も、その一つなのかもしれない・・・。
 

そうして、あっという間に50分は過ぎる。
 

退室の際、美智子参与の挨拶マナーのするどいチェックが入る。

笑顔で挨拶、「ありがとうございました。」

挨拶のあと、もう一度相手の目を見ること。
 

退室していく生徒さん一人ひとりに、美智子参与は優しく声をかけていた。

「素敵よ、その笑顔。」

「その笑顔を忘れないでね。」

どの生徒さんも、褒められた嬉しさを一回り大きな笑顔に変えて、部屋を後にしていった。

しびれた足をさすりながら。