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開会の挨拶のあと、進行役の司太夫にマイクを預けた。

これから始まるチャリティーディナーショー。

7月の西日本豪雨災害で傷ついた岡山の皆さんを元気づけたい、何かできることはないか、とすぐに連絡をくださった司太夫・葵太夫。

そのお気持ち、大変嬉しかった。

ではどうしたらそのお気持ちを受け取ることができるか・・・その答えが、チャリティーディナーショー開催だった。

太夫文化を多くの皆さんに観ていただく機会にもなることが、なにより嬉しかった。
 

音楽とともにドアが開き、今夜限りの「スペシャル太夫道中」が静かに始まった。

昨日の岡山学芸館高等学校での「伝統文化学習」講義の中でも太夫道中を披露、そこで曳舟デビューした私は、今夜はもう堂々と葵太夫の付き添いをして一緒に進む。

何よりスペシャルなのは、会場のお客様にお役を担っていただいたこと。

禿(かむろ)役に小学三年生の愛子ちゃんと寛子ちゃん、傘持ち役に「天ぷら高橋」店長、そして曳舟役に私。

初めてとは思えないチームワークと見事な振る舞いで、葵太夫一行は、会場の皆さんを魅了しながら前へと進んだ。
 

そしてもう一つのスペシャルは、全員が児島帯で臨んだこと。

葵太夫は丸帯の児島帯、傘持ち高橋さんは角帯の児島帯、禿の愛子ちゃんと寛子ちゃんは半巾帯の児島帯、曳舟の私は名古屋帯の児島帯。

それは「“岡山”を元気にしたい」というのが太夫の願いだったから。

どこかに「岡山らしさ」を取り入れたディナーショーとは・・・。

考えた末、岡山の繊維産業と縫製技術による “made in KOJIMA” の児島帯を衣装にする、という試みだった。
 

豪華絢爛な髪飾りや打掛だけではない、400年もの長い伝統の重みの中に、児島帯という新たな文化の帯がどう映るのか・・・それはドキドキだった。

太夫の正装は、帯を前で「こころ」という文字を描くように結ぶ。

衣装の中で、帯が一番中心を占め、これこそが太夫!といった貫禄を見せる部分が帯。

たたみべり・デニム・真田紐という素材だとボリュームに欠けないか、貧相に見えないか・・・。

そんな心配はすぐに吹っ飛んだ。
 

たたみべりのハリと光沢が、なんとも美しい。

もちろん、葵太夫の魅力あってこそ。

驚くほどピッタリ、葵太夫の美しい姿の中に溶け込んでいた!
 

これが、西日本豪雨災害の復興に直接つながるわけではない。

が、古くからあるものが新しいカタチに生まれ変わり、新しい伝統を創っていく・・・そんな未来が見えたような気がした。

まだまだ岡山は、やる。

岡山は、負けない。