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空がどんより曇っている。
 

義母は、一日にバス3便しかない村に暮らしている。主に彼女の食を支えているのは、共同購入だ。
注文書を提出しておくと、指定日に村の集会所まで持ってきてくれる、便利で有難いシステム。
毎週決まった曜日に各戸が注文した商品がドサっと届き、それを仕分けしながらわいわい話をするのが毎週の義母の楽しみ。
だが、それも今はおっくうになっているらしい。
とくにこんな天候の日や暑さ寒さに左右される季節は、家から出るのも面倒なようで、注文書すら出さないことがあるようだ。
それはいけん、と帰るたびに私は「これ、美味しそうじゃが」「頼んどってえ、半分こ、しよやあ」と何かと注文書に書かせるようにしている。
それは、集会所に取りに行くのも運動になるから、と思ってのことだったが、よーくよく考えてみたら・・・そのうちの半分は私が取りに行っていたことに気付いた。
 

ある日、義母が「車のついたかばんが欲しい」と言った。
私の脳裏に浮かんだのはキャリーバッグ。
足腰弱っているのに、そんなもん買ってどこに旅行に行くんじゃい、と驚いたが、お店に行って選んだのはショッピング用のカンタンなカートタイプのものだった。
中が保冷バックになっており、スポッと商品が入る。
これなら牛乳2本買っても、重さを感じずに家まで持って帰ることができる。
思っていたより便利なもので、もっと早くに買ってあげればよかった、と、老体への負担に気付かなかったことを心で詫びた。
 

今日も、義母はそれをコロコロと引き引き、集会所から家へと歩く。
ちょっとでもうっとおしい天気だと「あんた行って、取ってきてぇ」という義母に、「散歩がてら、一緒に行こうや」と連れ出して。
穏やかな瀬戸内の海を眺めながら、歩く。
 

生憎のくもり空。
いつもすぐ目の前に見える島も、どこに消えたやら。
ただ波の音が静かに繰り返している。