IMG_7509

 
朝8時から箏曲部の着付けを始め、あと数人となったころ、やっと二人の留学生の順番になった。

4月入学式での演奏時にも着付けさせていただいたから、だいたいの生徒さんの顔は覚えている。

留学生はいろんな日本文化に興味があるから、様々な経験をしたい、ということで一つの部活動を長く続けないことが多いと聞く。

でも彼女たちは頑張って続けていた。えらい!
 

着物は先生がたが持ち寄って集めてくださった。

しかも、前回とは着物も帯も変えて。

女の子だからいろんな装いをしたいだろうと、心のこもったお支度に先生がたの親心を感じた。
 

「お待たせしてごめんなさいね、で、あなたの着物のはどれ?」

スマホをいじって待っていた二人に私は聞いた。

前日、シンフォニーホールに自身の着物一式を運び入れているから、借り物といっても自分の着るものはわかっているはず。

「自分の荷物のそばに行ってね。」という言葉に腰を上げるが、画面を見ながらの移動はおぼつかない。

「どれだったかな~・・・」とテキトーに見渡している。
 

「自分のものには責任を持って!」少し強い口調で私は言った。

ビックリしたように画面から目を離した二人、慌てて着物のたとう紙のそばに直立して、「これです!」
 

数多くの情報を与えてくれるスマホは大切なものだけれど、それよりももっと大切なものが、このたとう紙の中にはある。
 

学園創立60年、その歴史には、こういった「心づくし」が刻まれている。

式典はそれを感じる、本当にあったかい感動に包まれる、それでいて厳粛なセレモニーである。
 

そのオープニングを飾る箏曲演奏も、見事なものだった。

少々手荒な物言いをして申し訳なかったが、いつか大人になって、この先生がたの心遣いを理解するきっかけになって欲しい。日本との架け橋になるお二人に、そしてここで育つ1500余名の生徒さんに、幸多き未来を願った。