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日本人は猫背の人が多いとか、世界で一番姿勢が悪いとか、不名誉な話を聞くが。

その理由が私なりに何となくわかった。
 

嶋原の太夫の髪結いを長年されている通称「ねえさん」のところに、「日本髪を結っているシーンを取材したい」とフランス人ジャーナリストから申し込みがあり。

先日、その日本髪のモデルを務めた。

後期高齢者(失礼!)とは思えないちからと素早さで、ねえさんは髪を結い上げていく。
 

約1時間後、身長約170㎝、顔の横幅約40センチの「私」が出来上がった。
 

突如、上下左右に拡幅した自分に戸惑うかと思ったが。

これが案外とバランスがいい!
 

歩いていると「頭のてっぺん」がものすごく意識され始めた。それによって、全体が引き上げられているような「正しい姿勢」をとって動いている自分がわかる。

その「てっぺん」とは、「元結い」をする場所なのだと気がついた。髪を結う土台となる場所。ここに、前・後ろ・左右の髪を寄せてきて、バランスよく日本髪が作られる。

この位置が少しでも体の軸の中心からずれると、きっととんでもなくしんどい。

ここをバシッと決められるのがプロなのだろう。
 
 

頭をむやみやたらに動かさず、首を振らず、まっすぐ見、庇の低い場所をくぐる時も膝を曲げてスーッと流れるように動く。

軸がぶれない動きは、無駄のない動きだった。

それは、疲れにくい動きだとも感じた。
 

もう一つ驚いたのは、涼しさ。

「鬢」が左右に張っていると、耳からうなじにかけて思いもかけず風が爽やかに通りすぎる。

そして頭上高く髪が「盛って」いるので、直射日光が地肌に当たらない。

残暑の厳しい日だったが、外での撮影もフシギなほど強い日差しを感じなかった。
 

髪型も髪の長さも身分や立場で決められた時代、昔の人は快適を求めて創意工夫して生活していたような気がする。

その生活の知恵は、美しい所作や姿勢に繋がっている。
 

日本の美は、日本人の所作の美、なのかもしれない。
 
 

着付けレッスンで「姿勢を正しく」と何度も言うより、百聞は一見に如かず。

今度、『日本髪で京都散策の旅』を催すことに。

皆さん、一度経験してみてください。やってみる価値、あります。