アベック(死語?)

『アベック』と呼ばれる食べ物がある。どんなものを想像するだろうか。

なぜか中華どんぶりの中に、うどんと日本そばが一玉ずつ。それにネギとぶっかけだしが少々。究極のシンプル讃岐うどんだ。その店には天ぷらも油揚げもオツユもない。うどん県においては、これは特に驚くことではない。

讃岐うどんばかり脚光を浴びているが、香川のうどん店には、ちょくちょく日本そばのメニューも見かける。そしておそらく、お客さんの中でその両方を食べたい!という人がいて、こんなメニューができたのだろう。

うどんとそば・・・材料も太さも食感も色も、ぜんぜんちがったもの同士なのに、これが一緒に食べると不思議と・・・美味しい。
別々でももちろん美味しいのだろうが・・・歯ごたえと喉越しに絶妙なしあわせを生み出す。

まさに、人間と同じだ。

この面白く、ちぐはぐな組み合わせは、“カップル”でも“ペア”でもない懐かしいネーミングからしても的を射てるな・・・と感心しながら、うどんと日本そばを同時に喉の奥へと流し込んでいる。

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最近のウエディングパーティでは、宴中に新郎新婦のほうから列席者の席に挨拶や会話をしに行く時間がある。

たいがいはお二人そろって客席に行き、自分の親族やご友人にパートナーを紹介しながら、会場内を回っている。が、初めっから別々・バラバラの行動を希望するお二人もいる。

結婚したばかりで、そのお披露目なのに、二人そろわず別々に挨拶に行くなんて・・・と、お二人の世話をする介添えとしては、親心もあってちょっとハラハラすることもあるが・・・・仲の良い二人だからできる絶妙なバランスのとりかたがあるな、と感心することがある。

やはり最初は、久しぶりにあった友人と会話したいもの。
親戚のおっちゃんおばちゃんや従兄姉さんと、昔話をしたいもの。

それは新郎新婦、それぞれに招待しているのだから、それぞれに行きたいはず。
だからこのお二人はあからじめ話し合って、バラバラに挨拶に行くことを選択したのだろう。
お互いが無理をせず、自分が招待した友人や親族にも礼を欠かさず。
自分たちのペースを尊重しているのだろう。

しばらくして、ご自身の招待者に満足な挨拶ができた、と感じたら、どちらともなく双方が歩み寄って一緒に挨拶に回りだす。
パートナーの横で、ちゃんとパートナーの顔になって挨拶をしている。
…なにも心配することはないな、とまた親心で安心している。

ずっとバラバラの場合でも、時々新郎新婦がすれ違いざまにチョコチョコ・・・っと情報交換をしている場面がある。
「あの席は、おまえの高校んときの友達よな」
「うん、あのこが〇〇ちゃん。部長だった子」
とか、なんやらかんやら。

そしてほとんど面識のないパートナーの友人席に行き、「新郎(新婦)でーす。」と屈託ない笑顔で挨拶をしている。
招待客も、それはそれは笑顔になる。

形式どおりにいかなくても、そんなものにとらわれなくても、たくさんの笑顔が生まれることを若いお二人に教わった。

『アベック』は、形式や時代に囚われていない立派なメニューであり、“死語”ではない。
好き嫌いや、良し悪しは別として・・・・・
あのどんぶりの中から、なにか教わるものがあるような気がした。

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2 Comments

  1. 匿名

    『アベック』とは、フランス語で  “avec” と書き、 「○○と一緒に」を意味するフランス語の前置詞です。英語の “with” に相当します。With You・・・くらいの意味で考えると良いのではないでしょうか。「君と伴に」・・・と想像すれば、ロマンチックな言葉です。
    「死語」になって欲しくないですね。
    いつ頃から「アベック」という言葉が使われるようになったのでしょうね。相当昔から使われているような気がしますが、ロマンチストな方が使い始めたのでしょうね。

    • kimonoterrasse

      博識なご意見・コメントありがとうございます。
      最近耳にしなくなってきた言葉ですが、意味を考えるととてもステキだな、と改めて感じました。
      いつの時代も、夢やロマンを語る人で溢れて欲しいなと願っています。

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