DSC03275
小学生のころ、夏休みの観察日記にインゲンを育てた。三度豆と言われるが、本当に三度も実がなるのか、と食いしん坊の子どもはワクワクしていた。今も毎日一品は豆料理を食べなければ食事をした気にならないくらいの豆好きになったのは、この頃からかもしれない。

日本は“三”という数字を一つの“けじめ”や“くくり”にする感覚があるようだ。
着物の世界に、「帯は三代持つ」という言葉がある。大切に扱えば、親・子・孫に渡せるほど長持ちするもの、という意味や、それくらい丈夫で品質が良いという意味やいろいろあるようだが、引き継ぐ家族や着たいという気持ちがあってこそ。
少しずつ着物ブームというか、着物を着たい、という人も増えているようだが、実際に着つけレッスンを受けてくださる皆さんに聞いても、「娘の嫁入りに作ったけど実家に置いたまま」「色柄の好みが違うから私の着物を着たがらない」という、少し寂しい声もある。

そんな声の先にあるのが、今は着物リサイクル、というシステムなのかもしれない。

DSC03055
安価に着物や帯が手に入る着物リサイクルショップは、今はたくさんある。昔は「古着」という感覚だったが、行ってみれば、それとはまったく違う面もあることに気付く。
しつけ糸のついたままの着物、作家もの、伝統工芸品、驚くような逸品もあり、手にとり試着できる“美術館”、といっても良いくらいだ。
サイズが合うものが見つかれば、本当に安価で良い品が手に入る。リサイクル品の特別SALEに、大ぜいの客が押し寄せるというのも納得だ。

親から貰った大切なものを手放すなんて…という考えかたもあるが、もし引き継ぐ人がご家族にいないのであれば、「ご縁を託す」と考えても良いかもしれない。

着ない・着られない着物をタンスにしまったままでは、せっかく着物として生まれたのに、そこでご縁が途切れてしまう。着物としての人生をまっとうさせてあげるのも、持ち主としての愛情だ。タンスから出し皆さんの目に触れる場所に置くことで、新たな持ち主とのご縁が生まれるかもしれない。その人の元で、もう一度着物に、着物としての人生を歩ませてあげる。またその人が次のご縁のため、タンスから出して…

母娘三代ではなくとも、着物を大切に引き継ぐことに変わりない。そう、今風にいうと“シェア”。

着物リサイクルショップは、昔からの日本の“もったいない”精神が生み出した、新しい「シェアリングシステム」なのかもしれない。