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三年前の七夕、隣家の女の子が訪ねてきた。
「なっちゃん、ゆかた教えて。」
少女は祖父に初めて買ってもらったというゆかたを、嬉しそうに抱えて持っていた。
そのゆかたは、彼女には少し大きく、ちょっと大人っぽい色柄だった。
オトナに憧れる年頃になってきたのだろう。また、単純にゆかたを着せてくれというのではなく、ゆかたを自分で着られるようになりたい、というのもオトナへの第一歩だ。大切な一歩に関わらせてもらえることに、むしろこちらが感謝したい気持ちになった。
 

さて荷物を開いてみると、ひもや帯板など“着る”ための道具が・・・ひとつもない! 最近はスーパーでもゆかたを売っている時代。「ゆかた一式」と書いてあれば、それだけで“着る”ことができると思っても・・・無理はないなあ。
紐がいる、コーリンベルトが・・・と着るまでに何だかんだの準備をしながら、まるで母になったような、ちょっと嬉しい自分がいることに気付いた。またそれは、そばにいた夫もそうだったのか、「帯板がない」と耳にすると、家にあるもので代用できそうなものを探し出し、彼女にあう大きさにカットして“手作り帯板”をスッと差し出してくれた。
 

先日、ゆかたを着ていた私に彼女のお父さんが、「今年も娘はゆかたを着て出かけたよ。」と声をかけてくれた。
ちょっとオドロキだった。三年前、一回教えただけなのに、ちゃんと覚えてる!?
それは彼女のお父さんも驚いたのだのだという。「よっぽど好きなんじゃな、親が言うのもなんじゃけど、綺麗に着とるんじゃわー。それ見たらな、もう嬉しゅうなってなー。あの時作ってくれた道具も、大切に使うとるんよ。」
 

少女はもう高校生になった。
これから、ゆかたを着て一緒に出かける友達も、そして成人式などを通じて着物に袖を通す機会も、どんどんと増えるだろう。
こんなかわいい彼女たちに、着物文化をしっかり伝えたい、そう思った。