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天高く馬肥ゆる秋

 

岡山後楽園での園遊会は、紅葉がすすむ11月半ば、コートもショールも不要なほどの穏やかな日となった。
園内をくまなく使って和の文化に触れる楽しい一日が始まった。

 
毎年開催されている園遊会だが、今年はいろいろと新しい試みがされていた。

そのうちのひとつ、鼓の体験教室に参加する。

生まれて初めて触る小鼓。

重いような軽いような・・・大きいような小さいような・・・。

初めて見るもの、体験すること、は何でも楽しい。

あまりに楽しそうに、そしてかなり真剣に鼓を鳴らしていたからか。

 
気づいたら、地元新聞社の記者さんがそばに来ていて、取材を受けることになった。

 
鎖骨から鼓の音が体中に振動し、体が温まってくる感覚。

初めてなのに、なぜか懐かしく感じる音色。

そんな感想をひとしきり述べたあと。

今回の園遊会の取材とは全く関係がない質問をされた。

 
私の結んでいた【児島帯】についてだった。

 
少し前まで、デニムについてのお仕事をされていたそうだ。

なるほど、だから私の帯が目についたのだろう。

「自ら考案し、素晴らしい縫製技術の職人さんに作ってもらったのです。」

 
「なぜこういうものを作ろうと思ったのですか?」記者さんらしい質問だった。

 
児島には、様々な素晴らしい伝統産業がある。

これからもその産業がずっと児島にあり続けるには、新しい使い方が必要かもしれない。

しかもそれが、“着物”という見事な伝統の中のものだったら、なおのことユニークなコラボになると思う。

【児島帯】が100年、200年と受け継がれたら、これも立派な伝統工芸品になるかもしれない。

児島はそんな可能性を秘めた街であり、私はそこで出会った児島の人がとても好きなのだ、と。

答えになっていただろうか。

 
「この帯が商品となったら、連絡してください。」こうしてインタビューはお開きとなった。

 
そんなにお待たせはいたしません。

もうすぐ、100年先に羽ばたくデビューの日が来ます、と(心の中で)お答えした。