img_0293
 

誰にでも好きな音楽があったり、好きなアーティストがいるように、私にも好きな着物があり、好きな作家がいる。
重要無形文化財保持者 ― 人間国宝 ― が生み出した作品に会いに、今年も日本伝統工芸展に出かけた。
 

初めて作品を見たとき、なんとも言えないほどの優しさと、優美さに目が釘付けになった。
作家は、いったいどんなところで生まれ、どんな景色を見て育ち、どんな光を浴びながらこれを創造する感性を育んでいったのか。
作品が出来上がるまでの背景が知りたくて、夜行バスと電車を乗り継ぎ、ふるさとを見に行った。
 

その場所は、よく言えば牧歌的、とにかくおそろしく田舎だった。
が、そこの空気に触れ、光に触れたとき、その作品がいかに自然に生まれたかがよく分かった。
 

作品は、作家の感性が生み出す。
作家の感性は、作家が育つ環境が生み出すものなのかもしれない。
 

今月から、予約注文いただいていた【児島帯】の販売を始めた。
【児島帯】には作家はいない。
児島という地域が長い年月をかけじっくりと育て上げた地場産業と、それに携わって来られた数々の職人さんがあってこそ生まれたものだ。
街全体が“繊維“で結びついている環境。
【児島帯】も、「環境が生み出した」ものの一つである。
 

帯を手に取り、結んでみたいと興味を持ってくださった人が、今度は『児島』という街に興味を持ってくださったら。
海があり、山があり、歴史ある児島。
児島を訪れ、ぜひ空気と光に触れてほしい。
【児島帯】が街を知っていただく一つのきっかけになると嬉しい。