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年が明け、新年初めて会う方々にはこれ、と決めている着物がある。
 
 

阪神大震災の次の年に結婚した私には、いわゆる婚礼支度という感覚がほとんどなかった。

倒壊した実家が再建し、やっと落ち着いたころ、母が「遅ればせながら、、」と嫁入り道具としてこれを送ってきてくれた。

 

この着物を着るたび、いま無事で、そして健康でいることに感謝する。

新年、必ずこの着物を着て皆さんに会うのは、それを忘れないため。

今の時代こそ、一期一会の気持ちを大切にしたい。
 

あまりにも“よく着られた”その着物は、昨年ついに裾についている八掛という裏地が擦り切れた。

よほど着ないと、なかなかここまで傷むことはない。

愛用した証明だ、と自負している。

 
 

年末に八掛を付け替え、二度目のしつけ糸を外した着物は、真新しく息を吹きかえした。

 

着物は何度でもよみがえり、何年でも着ることができる。

次のしつけ糸が掛かるときを楽しみに、また新たな20年を目指す。