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着つけのレッスンが始まった途端、彼女の表情に真剣味が増した。
 
お仕事の都合で、なかなかレッスンの時間がとれない。
だから、この一回で何が何でもマスターして、自分で着物を着るのだ、という思いが伝わってきた。
 
もともとご自身で着ることができる方だ。
けれど、どうしてもきちんと着たい。
 
なぜならそれは、ご子息の卒業式に着物を着て行くから。
 
仕事帰りで疲れていることだろう。
だが、その話をする彼女の表情は、柔らかく優しかった。
それでいて、我が子の晴れの日に相応しい装いで出かけるんだ、という強いオーラを放っている。
思わず、「お母さん、おめでとうございます。」と声が出た。
 
立派に成長した息子が脳裏に浮かんだのだろう。
育て上げた喜びと、育ってくれた感謝と・・・。
「ありがとうございます。」
彼女の声は深くまろやかで、いろんな嬉しさがこもっていた。
 
 
着物は、こんな母の思いに寄り添って式典に行く。