「長女がゆかたを着たいと言ったから買ってやったんだけど」と、筋向いに住むさっちゃんが話しかけてきた。

どうしたらいいのかわからないから、相談に来たという。

もうそんな年になったのか・・・。
中学でバドミントン部に入り、毎日7時には朝練に家を出ていた頑張り屋の彼女。

もう3年生となり、引退の時期が来ているだろうが、そういえば、最近ちょっと体つきが丸くなり女の子らしくなってきたな、と思っていた。
紺地に鮮やかなひまわりの柄のゆかたは、若さハツラツとしたイメージで、元気いっぱいの彼女によく似合うと思った。
母親であるさっちゃんは、なんだかテンションが高い。

ゆかたのサイズはこれで良かったのか、道具はこれで足りるのか、この下駄は足が痛くならないだろうか・・・いつもはどちらかというと口数の少ない彼女からは、おおよそ想像が出来ないほど、言葉がポンポン出てくる。
4人の子育てをしているさっちゃんは、いつも口癖のように、「うちは躾が出来てないから。野放し野放し。」と言っている。

そういうことなのかどうなのか、イマドキの塾やお稽古事には一切行かせていない。

が、姉弟仲良く、そして外で思いっきり遊んでいるたくましい姿を、私は生まれたころからずっと見てきた。

どの子も気軽に話しかけてくる、笑顔の可愛い子に育っている。
放ったらかしにしている、と思っていても、女の子は女の子らしく成長をしている。

それが、「ゆかたが着たい」という言葉に表れたのだろう。

おそらく、親が気づかないうちにずっと大人に近づいていたのかもしれない。
その成長した娘への親心がマックス状態になり、ものすごい早口での質問攻めに合ってしまった。
大丈夫、任せてと言う私。

そこにさっちゃんの一言が、私の意識を変えた。

「あの子らしゅう、したげて。」

???

・・・そうか、彼女らしく中学生らしく、装わせてやって、ときたか!

一般的なゆかたの着方や、大人と同じような着方ではなく、彼女が彼女らしいと思えるゆかた姿にしてくれとな!
母親の気持ちがわかったような気がした。

今回が “初” ゆかたとなる彼女。

まだまだ幼さも残る我が子が、ちょっと小股に、だなんて歩けるのか・・・。

・・・ううむ、それは確かに私でも不安。

だったら、子どもでも大人でもない、その間の装いかたがあってもいいのかもしれない。
いつも創作帯をしたり、フリースタイルな着つけを提唱している私の創造力に火が付いた。

「大丈夫、任せて。」

今度はしっかりとさっちゃんに言った。

決戦日は今週土曜。・・・うふふっ・・・

中学のグラウンドで、この地区の夏祭りが開かれる日。