光のシャワーを浴びる、というような平凡な表現ではなくて。

火の粉がカーテンのように覆いかぶさってくる、というのか。

いや、星と光の天使が降り注いでくるような。
とにかく、私は瀬戸の海で、小船の上で、体中を花火の光に包まれる、心から幸せな時間を過ごした。
実はそのシアワセな時間が訪れるまで、私は船酔いに必死に耐えていた。

とにかく花火が好きで。

夏になると見たくて見たくてたまらない。

と言いながら、夏生まれの割には暑さに弱く、人込みが苦手で、お祭りに行きたくてもなかなか勇気が出ない。

そんなとき、笠岡港から出港して高松の花火を見に行くツアーがあると聞き、これなら私でもゆっくりと花火が楽しめる!とウキウキ申し込んだ。

自分が船酔いする人間だということを、すっかり忘れて!
岡山県笠岡市には、瀬戸内海の諸島を往復する定期船の他、水上タクシーというものがある。

その船をチャーターしての、今回の花火ツアーだった。

海には信号がない。だからとにかく早い。

びっくりするようなスピードで、あっという間に瀬戸大橋をくぐり、1時間余で高松港近くまで来ていた。
そこまでは良かった。あまりの高速で、酔っている暇がなかった。

じゃあ、船を停泊させて、花火が始まるまで食事でも・・・となったら、周囲は同じように花火を見に来た船だらけ。

いくら風のない静かな日でも、お互いの波を受ける。

そこで初めて、ひええ~!と叫びそうになった。
が、ほどなく花火が始まると、そんなこともすっかり忘れて私は、首が痛くなるほど上を向いていた。

とにかく頭上で花火が!吹き上がっている!

今まで見たこともないような大きな大きな尺玉が、次々と破裂している。

口を開けていたら、火が付いたままの花火が入って来そうで、おもしろ怖いくらいの距離感だった。
これは贅沢だぁ~。

日本だなぁ~。

夏だなぁ~。
船酔いしているのだか、花火に酔いしれているのだか、自分でもわからないまま、私たちを乗せた水上タクシーは、また猛スピードで帰路についた。
次の日の昼過ぎまで何も食べられなかったけれど、私は自分では、これは、あまりにも美しかった「花火に酔った」のだと思っている。