真剣な1,000個の瞳が、私をじっと見ている。
ワクワクしながら私はマイクを握った。
さあ、今週末の「伝統文化学習」の幕開けだ!
昨年からご縁が出来た、京都・嶋原の司太夫と葵太夫。
お二人が京都の中学校・高校で出張授業「伝統文化学習」をしていることを知り、「なんて素敵!」と、これはもうぜひ岡山でもと頼み込んだ。
といっても、私は学校に勤めてもいないし、通わせている子供もいない。
でもこれは、京都だけではもったいない。
日本文化は日本人のもの、都会や地方の差なくどこに住んでいても、特に子供たちには、見て、聞いて、感じることができる環境を一つでもいいから作りたかった。
こちらも、昨年からご縁ができた岡山学芸館高等学校、清秀中学校。
明るくいつも礼儀正しく挨拶をしてくれる生徒さんたち。
彼らの笑顔が真っ先に頭に浮かんだ。
昨年初めて太夫の舞を見た時の感動を、彼らに感じてほしくて、私は交渉のため校門をくぐった。
それから数ヶ月。
今週末、やっとその日を迎える。
が、太夫に先生になってもらう前に、まず私が、子供たちに「太夫って?」をわかりやすく説明する「事前学習」の先生になる必要があった。
誰だってそうだが、見たことも聞いたこともないものをその場ですぐ理解するなんて、そうたやすいことではない。
太夫や太夫文化は、長い歴史の中で忘れられてしまったり、別のものと混同されて勘違いのまま記憶されていることが多いだけに、大人でも正しく理解していることは少ないのかもしれない。
中学生にわかる言葉を選びながらの資料つくり。
何度も何度も読み返しながら作ってはみたけれど、ううう、これがまた難しい。
それでも、この事前学習を受けたあと、数日後に先生として本物の太夫が眼の前に現れるんだ、と生徒さんの気持ちで考えると。
想像してワクワク待ちわびる、といった心境になったら、それはそれは楽しみだろう。
私の役割は導火線だ。
そう、プレゼントをもらって包みを開けるときの、あの気持ち。
今日、彼らはワクワクしてくれただろうか。
それは、明後日のお楽しみ!
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