8月の教室は、小さなお客様が多い。
お母さんやおばあちゃんについてきて、大人のすることを見ている。
ジョウくんも何度かおばあちゃんと一緒に来ているので、すっかり教室のメンバーには慣れている。
が、男の子だから、なかなかじっとしていない。
部屋を出たり入ったり、セロハンテープで鏡にオモチャを張り付けたり、おばあちゃんのお道具を取ってみたり。
好きなように遊んで待ってもらっている、つもりだったが。
ある日の教室に、ジョウくんは白い箱と一緒にやってきた。
そこには七五三で着た、自分の袴一式が入っている。
朝からおばあちゃんに自分の着物を出して出して、とせがんだのだそうだ。
男の子も着物が着たい、って思うのか!と、これには私も嬉しいオドロキだった。
これは良い機会、と、急遽、本日のレッスンは “子どもの袴着付け” に変更だ。
いざとなったら照れくさくて、「いやだ~いやだ~」と駄々をこねるジョウくん。
だが鏡に映った自分の袴姿、まんざらでもないらしい。
意外にも、じ~っくりと眺め、そしてちょっとはにかむ。
子供たちが、自分から着たいと思える環境づくりをすること。
「文化の伝承」の本当の意味を、ジョウくんから教わった。
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