彼女はとにかく練習熱心だ。
お気に入りは児島帯。

きっと彼女は自分がお母さんと同じ大人だと思っている。
当然のように、大人が使っている帯と同じものを「貸して」と要求する。
さすがに半巾帯は巾が広くて長いので、昨年末に実用新案を取得するときに試作した、「ひらき児島帯」の短いバージョンを渡してあげた。
どうやらサイズも長さも気に入ったらしく、満足そうに遊んでいる。
いや、彼女は遊んでいない。
熱心に練習しているのだ。
それは大人も根負けするくらいで。

最近気温が高くなってきて、大人は何回か練習すると、「ちょっと休憩~」と座り込むが、彼女は決して休まない。
あまりに真剣にやっているから、彼女の成長記録として残しておこう、とスマホでムービーを撮った。
それをちゃんと知っている彼女、とりあえず一回できた、と思ったらすぐさまムービーチェックしにくる。
すごいプロ意識。
そして。
「もう一回やってみようか~♪」と、どこで覚えたのか流暢に言葉を使いこなして、また帯結びを始める。
先日は、なんとTAKE8まで撮らされた。
汗をかきかき、ついにはアンダーシャツにオムツという、あられもない姿になってもまだやっている。

それでも、「結ぶ」という手の動きはまだ小さな子には難しいらしく、ネジネジしてみたり、クチャクチャ握りしめたり。
両手を離すとサラサラっと体から落ちてしまうのが、どうにも合点がいかないようだった。

彼女は生まれたときから、いや、正確に言うと生まれる前からこの着付けメンバーの一人だ。
1歳を過ぎるころから、イベントの時だけでなく、お母さんと一緒に着付け練習に来るようになった。
みんなのすることを、とにかくじいーっと良く見ている。
少し経つと、お母さんが家で着物の支度をしていると、「きもの、きもの・・・」と自分にも着せろと要求を始めたらしい。
教室に来ると、今度は私に帯を持ってきて背中を向けるようになった。
「結んでくれ」の合図。
一人遊びができるように、とオモチャ代わりの彼女用帯締めや帯揚げなどを渡していたのだが、大人と同じ半巾帯がいいらしく、お母さんのをとるようになり。
じゃあ、と試作用の帯を渡した。

それを使うようになって2回目。
彼女は帯を結んだのだ!

それはきっと彼女自身にも意外な瞬間だったのだろう。
いつものようにネジネジクチャクチャして、パッ。
・・・落ちるはずの帯が・・・落ちない!
相当びっくりしたのか、きょとーんっとした表情で私を見た。

「できたね!すごいねー!」と言うと、帯が結べたかどうか、ではなく、褒められたことが嬉しかったようで、思いっきり満足気な「ドヤ顔」。
それから、何回かまた失敗をし、けれどひたすらに黙々と練習に励み、帰るころにはかなりの成功率を納めるまでになった。

子どもは握力がないから、自分で帯を結ぶのは難しいだろう・・・
体が柔らかいから、固い半巾帯より柔らかい兵児帯をするのが良いだろう・・・

大人の固定観念や想像力がいかにちっぽけなものか、彼女にはいつも教えられる。