私が着付け教室を担当している老舗の呉服屋さんでは、年に三回、きもの勉強会を開催している。
季節ごとのテーマに合わせ、講師をお呼びしてレクチャーをしていただく貴重な機会であるとともに、着物を着て出かける機会にもなっている。
もう何度目になるだろうか。今回も講師依頼を引き受けることになった。

私が皆さんにお伝えしているのは、時短と手間いらずの着付け。
サッと着物姿になって出かけましょう、と半巾帯でのコーディネートをお勧めし、それを使った「バリエーション豊富な帯結び」を特徴としている。
となると世間様のイメージは、やはり浴衣姿と重なるようで、夏を迎えるこの時期に講師のお声がかかることが多い。

ただ今回に限っては、私も引き受けるかどうか悩んだ。
新型コロナの第一波が収まったとはいえ、まだまだ心配は残っている。
一緒に手伝ってくれる仲間を危険な目に合わせることにならないか。

老舗の呉服屋さんだけに、参加のお客様の氏名・連絡先はすべて把握していること、そして何より着付けの仲間がみんな、「やろう!」と背中を押してくれたこと、それで私の腹は決まった。

やるからには。
「観る人も、する人も楽しく」。
このようなご時世の中でやる意義は充分過ぎるほどある。今は免疫力をアップさせることの大切さをよく耳にする。
免疫力は「笑い」でアップするとのこと。
そんな勉強会は、私たちにしかできない!

講師として与えられたお題は「半巾帯と遊ぶ」。
これを私たちは【コント・ 「半巾帯と遊ぶ」 サザエさん】にスルリと置き換え、会場いっぱい使って名演技をやり切った。

グループLINEでシナリオを送っておけば、各自がそれぞれ自分の役割についてきちんと読み込んでおいてくれる。
このシーンには、こんな小道具があったらいいな、と思うものは、作ってきてくれる。
だから当日の朝に全員の初顔合わせでも、もうほとんど役ができ上がっている。

そしてこんな企み?をしていることは、主催の会長と社長には、当日まで一言も伝えていない無茶苦茶な講師。
それなのに、何も聞かずに時間になったら、舞台へどうぞと私たちの場を用意してくださる。
そんな会長と社長を舞台に引っぱり出し、強引にアドリブをさせる無茶ぶり。
お二人とも私たちの意図を酌んで?一緒になって舞台を盛り上げてくださる。

信頼があるからこそ生まれる、一体感の20分間。
「楽しかったよ!」の声が、何より心地よく嬉しい。