~きもの読み解き講座~
こんにちは。第25代岡山きもの博士の 那須七都子です。着つけ教室の中でいただいた、素朴な質問や会話の内容を、書いてみました。
ずばり、秋が来るまで
夏、というと、いつからからいつまで、のイメージですか?だいたいは7月半ばから8月の終わりくらいまで、でしょうか。
日本は南北に長い国なので、都道府県によって梅雨の明ける時期も違いますので、お住まいの地域の夏祭りや行事などで、なんとなく・・・決まってきているものだと思います。
着物の暦では、7月と8月を「盛夏」と読むので、だいたいその前後、となると思います。
近年は、異常なほどの猛暑で、夏が「長~く」なっているように感じますが、それでも9月になると台風が到来したり、夜は少し涼しい風を感じたり・・・それは秋が来た証拠。
そうなると、ちょっと「ゆかたは似合わないかな・・・」と、だんだんと感じていくものではないかな、と思います。
ひと言で言うと、「秋が来るまで」が、浴衣の旬、と言っても良いと思います。
体感を大切にする
現在は、日常的に着物を着るかたも少しずつ増えてきていますが、やはり圧倒的に洋服をきるかたが主流。 お着物は趣味の世界のかたや、ファッションを楽しむために着るかたがほとんどかと思います。だからこそ野暮になってはもったいない。
それには、常日頃から「季節を体感」する、敏感さが必要だと思います。
夏から秋へ・・・この季節の移ろいは、夜風の湿り具合など、微妙な自然から感じ取ることができます。
実際に、浴衣を着て夕涼みにでたら、袖を通り抜ける風の温度が「あ、なんか違う」と感じたとき。
それは、季節を肌で感じている証拠です。
「季節の風になる」イメージ
風は季節によって、温度、湿り具合、強さ、などなど、本当にいろいろあります。もし、着物や浴衣を「いつ、どんなものを着たらよいのか」と迷ってしまうとき、私は自身が「風」になる、あるいは「自然の一部にならせてもらう」つもりで着物選びをします。
浴衣もそう。
梅雨が明けて「あー、暑いなあ!」と思うとき、浴衣すがたの人を見かけたら、風鈴が「ちりりん・・・」となったかのような、「涼」を感じませんか?
そのように感じていただけるような着かたをしようと心がけています。
その反対に、夜風が肌寒く感じるようになったころ、浴衣すがたを見たら・・・
寒々しいですよね、きっと。
自分が楽しむだけでなく、人をも楽しませることができるような、忘れかけていた季節感を思い出してもらえるような、そんな着物や浴衣の着姿を目指して、今日も楽しくレッスンをしています。
《 プロフィール 》
那須 七都子 (なす なつこ)
KIMONO Terrasse 代表
第25代 岡山きもの文化人 きもの博士
【児島帯】~デニム・畳べり・真田ひもを使った帯~考案
実用新案登録【ひらき帯】考案
きもの文化を未来へ継承することを目的に、「着物を普段着にプロジェクト」を提唱。
普段着には、アイロン・洗濯等「お家メンテ」できる手軽さが必要、と倉敷市児島の繊維に着目。今までの着物や帯になかった素材で、新たな和の美を創る。
【児島帯】は、世界中で愛される普段着の生地代表・デニムと、和室にかかせない畳べり、400年の伝統繊維・真田ひも、の組み合わせ帯。
【児島帯】~KOJIMA-Obi~
~背中で“魅せる”大人の半巾帯~ をテーマに、素材の特徴を活かしたオリジナル帯結びを楽しむ着付け教室を主宰している。
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