着物 | 帯 | 喪服 | 礼装 | 嫁入り道具

先日、「喪服」のレッスンをしたい、とおっしゃったかたがいらっしゃいました。
ご不幸でもあったのか、と驚くと、映画にエキストラ出演するんですって‼️ いや、それも喜びの驚き!!

そこで、今回は、お持ちの「喪服」=映画の衣装 を実際に纏って着付けレッスンをしました。

 

着付けの手順は、いつも着物を着るかたでしたらよくご存じの、名古屋帯での「お太鼓結び」です。
それについては、たくさんのかたが投稿されていると思いますので、割愛させていただきます(笑)。

が、私は手順以外に、実は大きな違いがある、と感じています。
それは、纏っているときの「気持ち」。

喪服を着るときに、大切なこと

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「喪服」を纏うとき、といえば、ご家族、ご親族、とても近しいかたがお亡くなりになったとき。
それは、言葉にできない悲しさや辛さ、ショックで、心がいっぱいになっているときだと思います。

それでも、あとで、「バタバタしていて(こころが乱れていて)、何がなんだかわからないまま終わった・・・」とならないために。

こころを落ち着ける時間が必要です。

バタバタしているのに、どこにそんな時間があるの?
・・・それは、「着付けをしている時間」です。

どんなに手馴れている人でも、また、手慣れているかたに着せていただく場合でも、10分や20分、和装の着付けには時間が必要です。

その時間は、
「大切なひととのお別れ」をする覚悟の時間。
これからしっかりと生きていく、と故人に約束しようと、決意する時間。

 

洋装には必要のない時間が、実は、こころを整える大切な時間だと、私は考えています。

 

そう思わせてくださったかたがいまして。

そのときのエピソードを、お伝えしたいと思います。

 

「主人をきちんと送りたい」

着つけ講師でもあり、着つけ師でもある私は、依頼を受けて、葬儀会場にお着付けに行くことがあります。
そのひとつに、今でも忘れられないかたがいらっしゃいます。

葬儀会場に着くと、着付け室に入る前に、まず、祭壇の少し離れたところから御霊に手を合わさせていただきます。
そのときに遺影を拝ませていただくのですが、そのときのかたは、初老(60代なかば)の男性でした。

着付けを依頼されたかたは、その奥さまでした。

お葬式のときは、寝不足だったりお疲れがたまっていらっしゃることが多いので、体調を伺ったり、気持ちを少しでもほぐしていただけるような会話をしながら、着付け作業をすすめるのですが、そのとき、奥さまのほうから、お亡くなりになったご主人さまのことを、ぽつぽつ・・・と話はじめられました。

ガンの宣告を受け、余命わずかと言われたそうです。

「それでも、私と娘たちのために、あの人はがんばってくれました。」
「思い出を一つでも多く残す時間のために、治療も受けてくれて。」
「半年持たない、と言われたのに、10ヶ月頑張って生きてくれたんです。」

淡々、というよりは、むしろ、その日々を思い出して懐かしむような、少し笑みも浮かべて。

そして、次の瞬間、きりっとした表情になって。
「私は、病気と闘った主人を本当に尊敬しています。その主人を、きちんと送りたい、そう思って着物を着ようと思いました。」
と、おっしゃったのです。

 

あのときの、凛とした声と、遠くを見つめる横顔、真っ直ぐな姿勢。
私は忘れることができません。

着つけが終わって部屋を出るとき、私はきちんと正座をし、深々と頭を下げ、お礼を申し上げました。

 

「着物」が持つ本当の意味、こころに、気付かせてもらった時間でした。

 

「役」も気持ちが大切

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映画での「役」、と言っても、告別式のシーンでしょうから、そんな気持ちで纏っていただければ・・・

映画を観てくださったかたに、何か伝わるものがあると嬉しいですね。

 

その映画については、こちらでご確認ください。
映画 『石だん』 公式HP-

 

偶然にも、【児島帯】のふるさとがロケ地、というより、倉敷市児島を紹介する映画だそうで、児島を知っているかたも知らないかたも、懐かしいと感じる風景がたくさん出てくるとか。
もちろん! 私、見に行きまーす。

 

《 プロフィール 》

着物 | 帯結び | 児島帯 | 着付け教室 | 半幅帯 | デニム | たたみべり | 真田ひも | 結び方那須 七都子 (なす なつこ)

KIMONO Terrasse 代表
第25代 岡山きもの文化人 きもの博士
【児島帯】~デニム・畳べり・真田ひもを使った帯~考案
実用新案登録【ひらき帯】考案

きもの文化を未来へ継承することを目的に、「着物を普段着にプロジェクト」を提唱。

普段着には、アイロン・洗濯等「お家メンテ」できる手軽さが必要、と倉敷市児島の繊維に着目。今までの着物や帯になかった素材で、新たな和の美を創る。

【児島帯】は、世界中で愛される普段着の生地代表・デニムと、和室にかかせない畳べり、400年の伝統繊維・真田ひも、の組み合わせ帯。
【児島帯】~KOJIMA-Obi~

~背中で“魅せる”大人の半巾帯~  をテーマに、素材の特徴を活かした 「オリジナル帯結び」 を楽しむ着付け教室等を主宰している。