「前結びを教えてもらえませんか?」
初老の男性にそう言われ、軽い驚きを覚えた。
ご自身ではなく、お客様の悩みを解決して差し上げたい、とのこと。
年を重ねると手が後ろに回りにくく帯が結べない、好きな着物を着る回数が減ってしまった、といったお客様の声に対し、彼(老舗呉服店の会長さん)は、前結びをしたら無理なく着られるのでは? と思いつかれたそうだ。

人間は、自分の体の前には目が行き届き、手も動かしやすい。
着物の帯結びも、でき上がりが同じ形になるのであれば、前でも後ろでも、横ででも(これは会長との会話の中で、会長が発案?!された…笑 )、自分の好きな帯結びができたらよいのではないか。

現に、男性が着る場合は、慣れた人は器用に自身の後ろで結んでいるが、多くは帯を前で結び、後ろに回していらっしゃる。
ゆかたの帯をご自身で結ばれる女性は、そのようにされているだろう。
お太鼓、と呼ばれる結び方をする女性の帯は、男性帯よりも幅も広く重く長い。それをもっと扱いやすく…と考えたとき、私はそれを解決する一つの方法として、「前結び」は理にかなっているなと感じている。

そうやって、お悩み解決と着物をさらに楽しむ日々の応援になれたら、と、大笑いの賑やかなレッスンは始まった。

レッスンは  毎月 第2・第4 火曜日

問合せは

【趣味のきもの 染織近藤】

岡山市北区丸の内1-7-3
086-226-5298
または  【お問合せフォーム】へ

後ろに手が回りにくい、きれいに着られない悩みを解決したい、といった参加者は多いが、もちろん着つけは初めての人もいらっしゃる。
これから着つけを始めるには、ぜひとも「前結び」を選択肢に入れていただきたいと思う。
先ほど申し上げたように、人間の体のつくりからしても、自分の前では手は器用に動かすことができる。無理がなく自然だ。
ただそれだけのことだが、新しいことを覚えるには、自然な体の動かし方がよいのではないかと思う。

前結び着つけの活動として、高校の教育現場で着つけを生徒さんに教えている先生もいらっしゃる。
これからの社会と文化を担う若い人たちに、自然に着物に親しんでいただきたい。
前結びという自然な着装法は、その合理性から生徒さんたちには合っているようだ、との声も聞く。

着物を着る楽しみを、日常の毎日の一部にしていただけたら、それはとてもステキなことだ。
そう感じてくださる人が少しでも増えてほしい。

これが私の、『未来に文化を繋げる仕事』の一番大切な想いだ。