「ソラマメは、空を見上げるようにさやが実る、だから空豆っていうんだよ。」
昔聞いたことがある。それを確かめたくて種を蒔き、育ててみた。
本当だった。他の豆類はぶら下がるように実るのに、彼らは上を上を向いて肥えていく。そしてある時期がくると、頭(こうべ)を垂れ始める。なかで実が熟したサインだ。

さやを開けると、ふかふかのお布団にくるまれて、宝石のように寝かされれていた実があらわれる。こんなに大切にさやに守ってもらうなんて、見事に高級品扱いだ。(実際、最近ソラマメは結構なお値段がする…)

そういえば、着物の柄にソラマメはないなぁ…
さまざまな着物の柄の中でも、縁起がよいとされる動物、植物、宝物や珍品などは吉祥文様と呼ばれるものもある。願いや祈りを込めて、たくさんの種類の柄が用いられた。
また、野菜では、カブ、茄子、瓜、唐辛子などの柄がある。みずみずしさをあらわすような細部までこだわったデザインには、昔の人の感性の豊かさが感じられ、感心させられることもしばしば。


成長過程から実の形まで、何からなにまで面白いのに、どうしてソラマメは着物の柄に選ばれなかったのだろう。一説にソラマメは、西方から8世紀には伝来していたという。日本にありながら、一般庶民には縁遠いものだったのか。そんなことをいろいろ想像できるのも、着物の柄の面白さだ。

家には、お祖母さんの着物、お母さんの着物、自分の着物、そして帯、きっと何かはあるはず。一度、じっくりゆっくり柄を見てみたら面白いと思う。柄の意味、込められた思いがわかったら、もっと愛着がわくと思う。その着物を作ってくれた家族への思いも、何か変わるかも。

愛らしい実の形や、自らの収穫期を知らせる姿は、ユーモラスだけでなく、私たちに何かを教えてくれているような、そんな気がした。