リオ・オリンピックで、体操男子団体が金メダルをとったとき、解説者の言葉が印象的だった。
難度の高さだけでなく、美しさを崩さずに演技をするのが日本の体操だと。
納得しすぎて、テレビに向かって何度もうんうん、とうなずいていた。
まったくレベルは違うが、私の目指している着つけも、“美しい着つけ”だ。
礼に始まり礼に終わるまで、きちんとした姿勢で。
心も、体の軸も、きちんと整えて着る。
そうして出来上がった着姿が、美しいと思ってもらえる。
私は、着ている所作からすべて繋がっていると感じている。
以前、レッスン見学に来た人が、数ヶ月してもう一度訪ねて来た。
この数ヶ月、前結びの着つけがしたいと思って、いろんな教室に見学に行っていたらしい。その結果、ここに戻って来て、ここでレッスンしたいとのことだった。
理由を聞いてみた。
「先生の動きがきれいだったから。」との答えだった。
教え方の上手下手や、人柄も大切だけれど、きれいだなと思う着物の着方をしている人に教えてもらいたい、そうすれば自分もきれいに着られるようになると思うから、と。
ステキなメイクをしている人に、メイクレッスンを受けたいと思ったり。
センスのよい人に、服を見立ててもらいたいと願ったり。
人は人によって磨かれることは、しばしば。
私も、その言葉をありがたく頂戴し、これからも“美”着つけを追求していきます。
読者のひとり
美しい姿勢・身のこなし・・・・「それらは全て心の姿勢そのもの」だと思います。
人生の目的,自分が大切だと思うことに対し,真剣に向き合い,向上の努力を日々重ねている・・・そうした精神の緊張感・自分自身に対する厳しさを維持している【生き方】が,知らず知らず,心のレベルを上げ,その結果が,行動となって表れている・・・ということではないでしょうか。だらけた人生を送っていると,所作から美しさが消えていきます。
「『先生の動きが綺麗だったから』・・着付けを,先生に教えて欲しいと思いました」と仰られた方も,これまた素晴らしいですね。
kimonoterrasse
「心の姿勢」「美しい姿勢」、どんな姿勢もすべて生き方に通じていますね。「人の前ではきちんとしよう」「誰かに見られているときは姿勢を正しく」ではなく、常に自分を正していきたいものです。いつか、「先生の生き方が綺麗だったから」と言われるようになるために。