大分の知人から、おいしそうな糠漬けが届いた。
彼女とは呉服屋さんの展示会で、メーカーのマヌカンさんと客、というかたちで知り合った。お互いの着物姿に、目指す方向性、共通する思いを感じ、会場内で着物について熱い話をしたのを覚えている。
先の熊本地震で、大分でもかなり被害を受けたようだ。それを知り地震のあとすぐに彼女に電話をした。無事が確認できたときは本当にホッとした。
着物は好きでも、展示会を苦手と感じる人はいると聞く。しかし私はむしろ誘われたら喜んで行っている。
着物の世界も日進月歩、今までの伝統的な製作方法だけでなく、生地や染め、どの分野でも新たな手法、風合いのものが生み出されている。展示会では、それを手に取って見、羽織らせてもらえる。生まれたての美術品をまとう心地、かなり幸せである。
加えて、作家さんや開発メーカーさんがその場にいらっしゃるので、質問し放題。細かな技法やそこに至る苦労話、いろんな話を聞かせていただける。こんな勉強になる場所はない。
マヌカンさんの着物姿も大変参考になる。今回の目玉となる着物や帯を、粋に、エレガントに着こなし、小物の色合わせも、「そうくるか!」と唸りたくなる。
着物の勉強では、もちろん着る技術も必要だが、着こなしや色合わせなどについては、本や雑誌だけでなく、展示会も素晴らしい勉強の場にしたら良いと思っている。現に私は彼女と出会い、そのエレガントにカッコよい着物姿に、軽い嫉妬心と憧れを感じた。それはまた彼女も同じだったようで、それ以来お互いの着物の”同士”として、着物を着る日々の心の糧となっている。
彼女の手紙には、震災で傷んだ屋根の修理も終わり、介護の家族も落ち着いたら、仕事と休暇を兼ねて京都に行く予定だと、書いてあった。2年越しという糠漬けが、生活が落ち着いてきたことを何よりも語っていた。
帰路、岡山に立ち寄るという。さぁ、何を着て迎えようか。一気に背中が伸びる。張り合いが出た。