着つけレッスンを始めたばかりの人は、よく言う。「私、もたもたしてて、皆さんにご迷惑をかけてしまう」と。
そんなことはありません。
そして他の皆さんも、「いやいや、そんなことないよ」と(これは本心から)言う。
レッスンはいきなり着物を着るわけではない。
お道具の並べ方やサイズの合わせ方、その意味、最後はたたみ方まで、基礎からきっちりレッスンをするので、確かに最初は手間ひまかかる。
けれど、少し慣れてきた人も、ちょっと忘れている部分があったり。
もっと慣れてきた人は、自分の癖が出て独特なことをしていたり。
そんなことに気付かせてくれるのは、新人さんなのだ。
それから、何とか帯結びができるようになったころ。
なかなか一回どおりしただけでは覚えられない。
そんなとき、ベテランさんは一斉にあなたの“先生”になってくれる。
「ここをこうして・・・」「ここを押えて・・・」「ここをちょっと変形させたら、ほらこっちのほうが可愛いよ」などと、いろんなアドバイスを含めて手とり足とり。
丁寧な“先生”がマンツーマンで、あるいはぐるりを囲んで、楽しそうにおしゃべりしながら。
私は、そんな光景がとても好きだ。
これは、新人さんが教えてもらっている、というだけではない。
ベテランさんにとっても、自分がどれだけちゃんと理解できているか、確認できる時間だ。
人に説明し、その人がきちんとできて初めて、理解できていたということになる。
アウトプットは、新人さんがいるからこそ。
ベテランさんにとっても、なくてはならない存在だ。
それぞれが目指す“着物美人”の夢も、お互いアウトプットして、お互い理解して、そして高めあえたら。
同じ文化を持つ者同士、大きな絆になるだろう。
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