母娘三人が初釜に行くので、と着つけに来た。

すでに慣れた我が家に、姫たちはそれぞれの着物が入った袋を持って、嬉しそうに駆け上がってくる。

 

お姉ちゃんは少しモジモジするお年頃。

妹姫は、「私から着せてー!」とさっさと着替えモードに入る。
子どもは自由だ。

着つけている間でも、向きをくるくる変えるし伸びはするし。

途中でどこかに行きそうなのを、ひもでくいっと引き戻したり。

私も昔は「じっとしていなさい!」と叱られながらやってもらってたっけ。

 

お母さんの着つけを待つ間、きっと暇だろう、とyou tubeで最近流行りのダンス曲を流した。

昨年、テレビドラマで大流行りしたダンス。子どもだったらとっくに覚えてしまっているだろう。

案の定、「えー、恥ずかしいが~」と言いながら、口とは裏腹にすでに体は動いていた。
お姉ちゃんと競うように踊っていた妹姫は、さすがに動きが激しく、帯がずれかけた。

もう一回結び直している間にも、ずっと手足は動いている。

だが、面白いことに。

さっき、好きに体をよじって伸びやあくびをしていたときとは違う体の動かし方をしている。

結んでいる帯のあたり、腰回りは動かないよう注意しながら踊っていることに気がついた。

体のコアをしっかり意識しながら動いている。

 

お母さんが「すごい、こんなに動いているのに着せられるなんて、さすがですね」と褒めてくださったが。

・・・いいえ本当は、子どもたちのほうが、着物の動きに合わせてくれているんですよ。

 

 

支度が出来上がった。

外に出た途端、強風が少女の袖をふわっと持ち上げた。

さっき、踊っていたときの動きのように。

 

着物も、こんな楽しそうにまとう少女に出会えて、きっと嬉しかろうな。

そんなふうに思える、袖のダンスだった。