⑴ モダンな帯結び がお好みのかたへ
今日は、帯結び【流星(ながれぼし)】をお伝えしますー。
児島帯の帯結びの中では、ちょっとスッキリした形に仕上がる帯結びです。
最近、涼しくなって秋らしくなってきましたけれど、まだまだ日中は汗ばみますからね、帯結びもスッキリタイプにすると、季節感が味わえるかなと思います。
【児島帯】 ~デニム・畳べり・真田ひもを使った帯~ で結んでいます。
- 仕様 -
★ デニム :シルク混デニム―燻ibushi-
★ 畳べり :鮫柄 × 市松柄
★ 真田ひも :縫付け無し(「白虎」or「青龍」を付属)
他の色柄は、こちらでご覧になれます⇒【児島帯】~KOJIMA-Obi~
手先は、体の前中心から、約60㎝くらいですね。
体に2周巻いて。
今回の帯結びは「たれ先結びあげ」です。
貝の口、とか、矢の字、っていう結び方をするときと同じですね。
体の正面で、帯の「たれ」のほうを上に重ねて、全部引き抜いて結んでください。
「手先」が半分の幅に折っている状態、「たれ」が元の幅のまま。
「たれ」が斜め左上、「手先」が斜め右下、になります。
では、上にぬき上げているたれで、もう一度、結び目をロールするように、グルンと巻いてください。
あ、全部ぬき上げないで、10㎝くらいだけ。結び目の上に、ループ(わっか)になるくらいでいいです。それでとりあえず置いといて。
ではここで、三重ひもを使います。
ゴムの両端をピンと左右に張った状態で、さきほどつくったループの根元、帯の結び目のすぐ上に当てて、後ろでしっかりと結んでください。
帯の表面、帯幅の中で結んでいただいたほうが、あとで、帯結びを後ろに回すときに上手に回せます。
しっかり固定したら。
次は右斜め下にある「手先」を持ち上げてきます。
縦に半分折りになっていると思いますので、そのままの幅で、先ほど作った「たれ」のループに、右から左へと入れてください。
あまりキュキューっと引っ張りあげないで、むしろ余裕をもたせて、手先が少し緩いカーブを描くような感じで。
ここ、『流星(ながれぼし)』らしく、ちょっと優雅なラインを描いてもらいたいです。
「手先」の先っぽは、ループから、手ひとつ、くらい抜いてください。
ここが、ながれぼしの「☆」部分になります~。
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皆さん、ながれぼしは見たこと、ありますか?
私が生まれて初めて見たのは、大学生のころ、発掘のボランティアに行ったイスラエルでしたね。
「聖書考古学調査隊」のボランティアメンバーとして行ったんですが、キブツと呼ばれる集団生活の場に住まわせてもらいながら、発掘に行ってました。
そのキブツはゴラン高原の中にあるので、夜になると外はまーっくら。だから星は本当によく見えました。夜空を見上げたら、いつでもさぁーっと星が降っていて。
もう30年くらい前ですね~。
でも、30年経ったら、こんなことも起こるんだ!とビックリしたのが、この前アメリカのトランプ大統領が間をとりもった、イスラエルとUAE・バーレーンとの国交正常化!。
だってね、あのころ、日中、発掘していたら、毎日毎日頭の上を、マッハの爆音ひびかせて戦闘機が飛ぶんですよ。
戦闘機なんだか偵察機なんだか、私にはよくわかりませんけれど。
中東の中でもイスラエルは微妙な立ち位置ですからね。
そうやって軍事力を近隣諸国に見せていたのかなー、なんて思ってましたけど。
ある時、その飛び方がちょっと違うなー、という日があって。
なんかあったかな?って、ぼんやりしてたら、5日後くらいに日本大使館のかたが、日本の新聞持って、ど田舎の発掘現場までいらして。
「戦争がはじまりました」って。
イラクがクウェートに侵攻したんです。
湾岸戦争の先駆け、です。
そう聞いても、
「・・・へー・・・」
くらいの反応で、まったくピンと来なかったなあ、あのときは。
私も、戦争を知らない子供たち、の一人なんで。
だから、次の年から、あーいう湾岸戦争に発展していくなんて、想像もしてなかった。
そういう一触即発を見てたし、歴史的に根っこの深~い問題を抱えている、って意識が強く残っていたから、まさか約30年経って、次はこんなビックリ仰天ニュースを耳にするとは、こちらも想像できなかったー。
湾岸戦争は、たしか、石油の権利が戦争の一つの原因だったと思いますけれど、今は、
石油に代わる代替エネルギーが地球規模で模索されるようになってる、ってのも 「へええ~」 ですけどね。
あのころはまだ、イスラエルは、隣国のヨルダンとも、国交正常化していなかったんですよね。発掘が終わって、調査団が解散したあと、国内旅行をしようってことになったんですが。
調査団メンバーの先生から、「死海で、ぷか~っと浮いて夜空を見上げるのはほんとに気持ちいいが、そのまま寝てしもたら、風で対岸のヨルダンに流されてしまうで。そうなったら、大変なことになるから、死海では絶対に寝ないように」と言われて、送り出されて。
その時は笑ってましたけど。
いや、笑いこっちゃない、と、あとでさむ~くなったりして。
死海にはもちろん行きました。けど、星は、ゴラン高原からの眺めで、もう充分満足でしたわ。
そうそう、日本で冬の星座として代表的なオリオン座、三つの星が綺麗に横並びになってるあの星座が、イスラエルでは夏の空に見えるんです。
それを毎晩見ながら、まさに地球の裏っかわ!やわ、と妙に感心してました。
最近、星空を見上げることも、ほとんどないんですけど、イスラエルのこと、夏になったら思い出しますねー。
ほんで、秋になってきたことだし、夜空もだんだんと澄んでくるんじゃないかな、と思って、ちょっと見上げてみたくなって、この帯結び、創ってみましたー。
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あ、ちょっとアレンジの話になりますが。
もし、「手先」を長くとった場合は。
ぬき上げた「手先」部分が、不格好に長くだらん、となります。
そのときは先っぽを長めに引き出して、途中で折り返し、リボンにして可愛いゴムなどで止めてもいいですね。
星のイメージとは違いますが、
帯結び全体にボリュームが出て、オシャレになりまーす。
ここまでできたら、後はカンタン。
まずは、「たれ」のループを、きゅっと下に引いて、「手先」が抜け落ちないように締めて。
残りの「たれ」は、ご自分の内肩幅(うちかたはば)、脇から脇、くらいの長さで、パタパタと屏風のように折りたたんでください。
皆さん、それぞれ、残っている帯の長さも違いますし、内肩幅も違いますので、何回たためるかは変わってきますので、気にせずに、テキトーにたたんでください。
たためましたら、帯を縦にして。
たたんだ半分くらいの長さを、三重ひもに挟んで、前に垂らしてください。
三重ひもは全部使って。
そう、三本のゴム、全部にかけまーす。
それで、前にバサッと降ろす。
それから、かけた帯を左右に少しずつずらして、帯結びに幅を持たせるようにしていきまーす。
掛けた長さも、上と下、少しずつずらすと、帯結びに動きが出てきますね。
ここはお好きなようにアレンジしてみてください。
んで、ちょっと鏡で見てみると。
なんだか帯がごちゃごちゃしてるなーと思ったら。
掛けた帯の一番内側から、要らないなと思うひだを、体に巻いた帯と帯板の間にしまってってください。
全体がスッキリとしますし、しまい込んだ帯は、帯結びのズレ防止の「台」となりますので、一石二鳥です。
あとは後ろに回して、できあがり。
半巾帯ですので、裏と表、どちらも使えますから、お好きなほうを出して、色目を変えて楽しんでください。
1分でcheck! 帯結び動画 ☟
「ながれぼし」=
https://www.youtube.com/watch?v=TLo6Q38FOvs&feature=youtu.be
< ちょこっと+(ぷらす) >
『流星』 では、「たれ」を帯の結び目をもう一回巻き付けることで、必ずここで帯の反対面が出るようになっています。
せっかく裏と表、両方使える帯なのですから、どちらも必ず使えるような帯結びにしています。
色が違う部分が出ると、目にも楽しいですね。
《 プロフィール 》
那須 七都子 (なす なつこ)
KIMONO Terrasse 代表
第25代 岡山きもの文化人 きもの博士
【児島帯】~デニム・畳べり・真田ひもを使った帯~考案
実用新案登録【ひらき帯】考案
きもの文化を未来へ継承することを目的に、「着物を普段着にプロジェクト」を提唱。
普段着には、アイロン・洗濯等「お家メンテ」できる手軽さが必要、と倉敷市児島の繊維に着目。今までの着物や帯になかった素材で、新たな和の美を創る。
【児島帯】は、世界中で愛される普段着の生地代表・デニムと、和室にかかせない畳べり、400年の伝統繊維・真田ひも、の組み合わせ帯。
【児島帯】~KOJIMA-Obi~
~背中で“魅せる”大人の半巾帯~ をテーマに、素材の特徴を活かしたオリジナル帯結びを楽しむ着付け教室を主宰している。