
ちょっと嬉しいことがありました。
「着つけを習いたいのですが・・・」との電話が。
声に覚えがあるような、ないような。
会話が進むにつれ、お嬢さんが今年成人を迎えられたこと、
それをきっかけに母娘で着物に興味を持つようになったことなど・・・
あ~あのときの。
話ながら、そのときの光景を次第に思い出してきました。
半年前の偶然の出会い。
私が着物姿であることから職業を尋ねられ、名刺をお渡しした、あ~、あのときの・・・・・。
そして1週間後。
約束の日時に、ご自宅にお伺いしました。
「タンスをひっくり返すように、全部出しておいてもらえますか。」
と、お伝えしたとおりに、
いろんな着物や帯、小物をそこに出して、待っていてくださいました。
まずは、その中で、お稽古に使えるお道具類を一緒に選んでいきます。
着付けを習うといって、すべて新しいものを買い揃える必要はありません。
まずはあるものを使う。
それは、お母さん、お祖母さん、もしかしたらそのまたお祖母さんが、
大切に残してくださったものかもしれないからです。
とはいえ、着つけの世界は日々進歩していますので、使いやすく便利なお道具も、たくさん開発されています。
でも、まずは残してくださった「気持ち」をしっかり受け止めることが大切、とお伝えしたいのです。
それを使ってみて、それからあとは、
使いやすいお道具
さらに綺麗に着られるお道具
ラクで便利なお道具
などというように、自分らしい「着つけ」をするために、随時お道具を見直していけば良いと考えています。
私は、着つけ講師の仕事は、『着物での暮らしを家庭に戻すお手伝い』
だと思っています。
でも本当は、
それぞれのご家庭に引き継がれてきた、『大切な想い』探し、なのかもしれませんね。
(2016年6月)