着物コーデ~上級編③~

格とTPOを意識しよう

 

着物の世界で「上級者」と呼ばれる人たちは、色柄の美しさだけでなく、“格”と“TPO(時・場所・場合)”を的確に理解しています。

どんなに美しい着物でも、場にそぐわない装いでは魅力が半減してしまいます。

 

ここでは、フォーマルからカジュアルまで、格とTPOを踏まえた高度なコーディネートの考え方を解説します。



「格」とは何かを理解する

 

着物の“格”とは、その装いがどの程度フォーマルであるかを示すものです。

格を理解することで、結婚式やお茶会、観劇など、場にふさわしい装いが自然とできるようになります。


着物 | コーデ | 児島帯

格の種類     着物の例        帯の例              主なシーン

 

最も高い格    黒留袖・色留袖     袋帯(金・銀糸入り)       結婚式・公式行事

中程度の格    訪問着・付け下げ    袋帯または格の高い名古屋帯    パーティ・お茶会

おしゃれ着    色無地・小紋・紬    名古屋帯・半幅帯         街歩き・観劇・食事会

 

上級者はこの格を感覚的に使い分け、過不足のない「ちょうど良い格」を選びます。

 

※黒紋付(喪服と呼ばれることが多い)も、最礼装に位置付けされますが、帯や小物の合わせ方はすべて決まっているため、ここでは取り上げません。



TPOを意識するとはどういうことか

 

TPOとは「Time(時)」「Place(場所)」「Occasion(場合)」の略。

着物ではこれが特に重要です。

•    Time(時):季節や時間帯(昼/夜)によって、色や素材を変える。

•    Place(場所):式典、食事会、観劇などの場の格式を考慮する。

•    Occasion(場合):主催者か招待客かによっても装いを変える。

 

たとえば、夜のパーティでは光沢のある帯や小物を取り入れることで華やかさを演出。

一方、お茶席では光沢を抑え、控えめな色で「謙虚な美」を表現します。


着物 | コーデ | 児島帯


「格」と「個性」を両立させる

 

上級者コーディネートの真髄は、ルールを守りつつ個性を生かすことにあります。

 

格を守りながら差をつける

•    同じ訪問着でも、帯の柄をモダンな幾何学模様にするだけで現代的に。

•    色無地には、個性的な帯締めを一点投入して個性を引き立てる。

 

帯で格を調整する

•    格の高い着物でも、あえて名古屋帯を合わせて「程よく軽やか」に。

•    逆に、シンプルな小紋に袋帯を合わせれば「格上げ」した印象に。

 

上級者は、場に合わせて格を上げ下げする“引き算と足し算の感覚”を持っています。


着物 | コーデ | 児島帯


季節と素材でフォーマル度を調整する

 

物の素材は、格だけでなく季節感にも直結します。

•    春・秋:縮緬や綸子など、柔らかく上品な素材。

•    夏:絽や紗など、透け感のある涼やかな素材。

•    冬:袷(あわせ)仕立ての重みのある生地で格式を演出。

 

同じ柄でも、素材を変えることで印象が大きく変わります。

上級者は、季節の空気感までコーディネートに取り入れます。



シーン別の高度なコーディネート例

 

結婚式(招待客として)

•    着物:訪問着(淡いベージュや薄藤色)

•    帯:金糸入りの袋帯

•    小物:白や銀の帯締めで清楚にまとめる

→ 主張しすぎず、花嫁を引き立てる上品な装い。

 

観劇や会食

•    着物:小紋や色無地

•    帯:名古屋帯(洒落感のある柄)

•    小物:差し色を使い、程よくモダンに

→ 格を保ちながら、個性と遊び心をプラス。

 

お茶会

•    着物:色無地または江戸小紋

•    帯:控えめな袋帯や名古屋帯

•    小物:淡色系で統一、光沢を抑える

→ 清潔感と控えめな上品さを重視。


着物 | コーデ | 児島帯


まとめ:格とTPOの“さじ加減”が上級者の証

 

着物のコーディネートは、単に美しい組み合わせを作るだけではありません。

場にふさわしい格を守りつつ、自分らしい個性をさりげなく表現する――

それこそが上級者の装いです。

格を知り、TPOを読み取り、そこに自分の美意識を重ねること。

それが、和の装いを極めるための最終ステップです。

 

 

さらに着物上級者になるために。


「これからの素材」を、あなたの和装に取り入れてみませんか。


昔からの素材や技法で、伝統を重んじてつくられている着物や帯もまだまだありますが、

今はどんどんと技術革新がすすんでいることで、あらたな着物や帯が生まれています。

それを上手に取り入れていくことこそ、上級者への道。

 

着物 | コーデ | 児島帯

こちらを参考に、素晴らしい着物上級者になってくださいね。

▶▶▶着物コーデの参考アイテム ご紹介 
ブログに戻る