絹の着物
絹は、日本の伝統的な織物の中でも特に高級とされ、光沢や風合い、肌ざわりの良さが特徴です。
一方で、非常にデリケートな素材であるため、取り扱いやお手入れには注意が必要です。

絹の着物を長く美しく保つためには、
「着用後のケア」
「保管方法」
「クリーニングの考え方」
の三つを柱として意識することが大切です。
では、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
着用後のお手入れ
絹は吸湿性に優れている一方で、湿気や汗、皮脂汚れをそのままにしておくと変色やシミの原因となります。
着た後は必ず次のケアを行いましょう。
風を通す
着物を脱いだら、まず着物用ハンガーにかけて風を通します。
または、背もたれのある椅子に裏側を上に向けて広げ、風を通しましょう。
直射日光を避けた日陰で、1~2時間程度吊るすと良いでしょう。
長時間掛けっぱなしにすると、型崩れや日焼けのリスクがあるため注意が必要です。
汗や汚れの確認
襟元や袖口、裾は特に汚れやすい部分です。
汗ジミやファンデーションが残っていないか確認しましょう。
小さな汚れを放置すると黄変の原因になるため、見つけたら早めに専門店に相談するのが望ましいです。
ブラッシング
塵やホコリは着物用の柔らかいブラシで軽く払います。
強くこすると生地を傷めるので、あくまで優しく行うのがポイントです。
保管方法
絹の着物は湿気や虫害に弱いため、保管環境が非常に重要です。
たたみ方と包み
着物は基本的に「本だたみ」で畳み、たとう紙に包んで収納します。
たとう紙は和紙でできているため、通気性があり、着物を湿気から守るのに最適です。
また、埃を寄せない役割を果たしますが、湿気を吸うと、和紙自体が変色してくることがあります。
最低1年に一度は、新しいものに取り替えるのが理想です。
収納場所
桐のタンスが最適とされています。
桐は湿度調整機能があるため、絹の大敵である湿気から守ってくれます。
もし洋服ダンスなどに収納する場合は、除湿剤を併用しましょう。
虫干し
湿気対策として欠かせないのが「虫干し」です。
年に1〜2回、晴天が続いた乾燥した日に、直射日光を避けて風通しの良い場所で半日程度陰干しします。
これにより湿気やカビを防ぎ、虫害の予防にもなります。
クリーニングとしみ抜き
絹は家庭での洗濯には不向きです。
水に弱く、縮みや色落ちを引き起こす可能性が高いため、専門の悉皆屋(しっかいや)や和装クリーニング店に依頼するのが基本です。
丸洗い
洋服でいう「ドライクリーニング」に近い方法です。
全体の汚れや油分を落とすことができ、着物をさっぱりと蘇らせます。
ただし頻繁に行うと生地に負担がかかるため、数年に一度程度が目安です。
しみ抜き
部分的な汚れやシミは、早めの対応が肝心です。
絹は変色しやすいため、時間が経つと落ちにくくなります。
自宅で強くこすったり、市販のしみ抜き剤を使うのは避け、専門店に任せるようにしましょう。
日常の注意点
お手入れや保管に加えて、着用時に気をつけることで、着物をより長持ちさせることができます。
・飲食時:食べこぼしを防ぐため、ナプキンや風呂敷を膝に掛ける。
・雨天時:雨コートを着用し、濡れたらすぐに陰干しする。
・香水や整髪料:直接着物に付着するとシミや変色の原因になるため、着付け前に使用する。
・帯や小物:帯揚げや帯締めにも汗や皮脂が付くため、時折お手入れするとよいでしょう。
長期保管と見直し
長い間着用しない場合でも、定期的に着物を広げて点検することが重要です。
カビや黄変が早期に見つかれば、被害を最小限に抑えることができます。
タンスの奥に入れっぱなしにせず、時折、虫干しと点検を兼ねて出してみましょう。
まとめ
絹の着物は、美しさと気品を兼ね備えた特別な衣装です。
その反面、非常に繊細で、湿気・汚れ・虫害に弱いという特徴があります。
・着用後は必ず風を通し、汚れを確認する。
・保管は桐タンスやたとう紙を用い、湿気対策を徹底する。
・クリーニングやしみ抜きは自己流ではなく専門店に任せる。
・定期的な虫干しと点検を行うことで、長持ちさせられる。
これらの基本を押さえておくことで、大切な絹の着物を次の世代へと受け継ぐことも可能になります。
お手入れは少々手間がかかりますが、その手間こそが「着物と共に過ごす喜び」であり、着物文化を守り続けることにつながっていきます。

しかし、絹の良さはわかるけれど、お手入れにそれだけの手間と時間はかけられない・・
というかたも、実際にはいらっしゃると思います。
そこで。
「絹の良さ」と「お手入れの手軽さ」を兼ね備えた着物をご紹介します。
それは、「絹と綿」のハイブリット素材でできた着物です。
こちらでは、極細の綿糸を3本撚り合わせたタテ糸に、シルク糸をヨコ糸に使った、最上級クラスのデニムをつかった着物をご紹介しています。
どのような生地の着物か、ぜひご覧になってくださいね。





