鮫文様(さめもんよう)・鮫小紋(さめこもん)
鮫とは、海にいる鮫のことです。
その鮫の肌に似ている文様だということから、
この名前がつけられました。
本物の鮫の肌を見ることは、なかなかないかもしれませんが、
わさびをすりおろす時のおろし金(かね)に、鮫皮(さめかわ)を
張っているものがあります。
文様としては、小さなドット(点)が、
円弧形を重ねたように連なって並んでいる柄のことを言います。
江戸時代、武士の裃(かみしも)に使われていた文様の一種です。
武士の住む江戸では、裃(かみしも)に、
藩の定め柄を模様として入れました。
この鮫文様は、紀州徳川家の定め柄でした。
硬いサメ肌は鎧に例えられ、魔除けや厄除けの意味があります。
遠くから見ると、無地に見えるような小さくて細かい柄です。
柄が細かいほど、職人の高度な技術が必要になりますので、
格も高くなると考えられています。
岡山県倉敷市児島では、畳べりで鮫文様が
織りだされています。
着物や帯だけでなく、いろんな小物や、
身の回りのものにも、よく使われている柄です。
柄の意味を知って、少し心強く思えたり、
格の高さに背筋が伸びる感覚をもったり。
そんなふうに、日常の中で、ちょっとした気持ちの変化を
楽しんでみてはいかがでしょうか。